大熊ダイヤモンドデバイス株式会社がデットファイナンスにより3.3億円の資金調達

Image Credits:大熊ダイヤモンドデバイス株式会社

大熊ダイヤモンドデバイス株式会社がデットファイナンスにより3.3億円の資金調達

uniqorns編集チーム 2024.02.15

大熊ダイヤモンドデバイス株式会社は、北陸銀行、みずほ銀行および三井住友銀行から総額3.3億円(融資枠含む)のデットファイナンスによる資金調達を実施した。同社は、これまでにも内閣府主催のSIPやBRIDGEに採択されており、シード調達や復興庁/福島県による実用化補助金などを含めると、総額19.2億円の資金調達を実現している(銀行借入と補助金全期間分含む)。

大熊ダイヤモンドデバイス株式会社は、次世代半導体である「ダイヤモンド半導体」の世界初の社会実装を目指す、北海道大学・産業術総合研究所 発スタートアップである。福島第一原発事故に伴う廃炉作業に必要な要素技術として、高温かつ高放射線下に耐え得るダイヤモンド半導体へのニーズが高まり、国家プロジェクトとして国内の大学や研究機関が英知を結集し、ダイヤモンド半導体の研究開発が進んだ。このプロジェクトの中心メンバーであった北海道大学の金子と産業技術総合研究所の梅沢、そして両名のビジョンに共感した連続起業家の星川をコアメンバーとして、大熊ダイヤモンドデバイスが2022年3月に創業された。

現在、同社のダイヤモンド半導体技術は、廃炉現場に投入する装置の要素技術として対応できるレベルに到達している。原子炉内に残る燃料デブリを安全に取り出す計画の立案には、燃料デブリ近くの中性子線量を詳しく知る必要があり、中性子を計測する「臨界近接監視モニタシステム」の開発が進んでいる。同社が製造を目指す「ダイヤモンド中性子検出素子」はその中核となり得る技術であり、プロトタイプの前段階に相当する最初の装置を、福島第一原発の現場で近年中にテストすることを目標としている。

同社は、まだ誰も実現できていないダイヤモンド半導体の商用化に最も近い位置にいるチームとして、ベンチャーキャピタルや民間金融機関、政府機関からも高い評価と支援を受けている。これまでにシード調達に加え、復興庁/福島県主催の「地域復興実用化開発等促進事業」、NICT (国立研究開発法人 情報通信研究機構) による「Beyond5G研究開発促進事業」、内閣府主催の「SIP/BRIDGE」といった国家プロジェクトにも採択されている。今回の北陸銀行、みずほ銀行および三井住友銀行からのデットファイナンスによる融資を含めると、2022年3月の創業からの資金調達総額は19.2億円(助成金全期間含む)となる。

同社は、この資金を活かして、廃炉・原発だけでなく、通信衛星や次世代通信基地局などダイヤモンド半導体の強みを活かせる分野への社会実装を実現すべく、さらに研究開発および人材採用を加速していく予定である。