ウィル・スミスが出資するクリエイター向け金融サービス、Karat Financialの新たなステップ
uniqorns編集チーム 2023.07.28
活況を呈しているクリエイター・エコノミーの市場規模は、Goldman Sachs (ゴールドマン・サックス)によれば2500億ドル(約35兆円)にのぼる。しかし、不安定とみなされるクリエイターの収入状況により、銀行からの住宅ローンやクレジットカードの取得が難しい状況が続いている。
この問題に挑戦しようとしているのが、Karat Financial(カラット・フィナンシャル)である。同社の共同創業者エリック・ウェイとウィル・キムは、「数百万ドルを稼ぐユーチューバーでも、大手銀行では軽視される可能性がある」と指摘している。この問題に気づいた彼らは、クリエイターに対する金融サービスの改善に取り組んでいる。
その一環として、クリエイター向けにクレジットカードと金融サービスを提供するKarat Financialは、新規で7000万ドル(約98億7000万円)を調達したと発表した。このラウンドは、SignalFire(シグナルファイア)がリードした4000万ドル(約56億4000万円)のシリーズBエクイティ調達と、TriplePoint Capital(トリプルポイント・キャピタル)からの3000万ドル(約42億3000万円)のデットファイナンスで構成されている。このラウンドにはウィル・スミスと本田圭佑が設立したDreamers VC(ドリーマーズVC)なども参加している。
Karat Financialは2019年に設立され、累計調達額は1億ドル(約141億円)に到達している。同社には、YouTube(ユーチューブ)共同創業者のスティーブ・チェンやTwitch(ツイッチ)共同創業者のケビン・リンなど、テクノロジー業界の大物が投資を行っている。
ロサンゼルスに本拠地を置くKarat Financialは、Visa(ビザ)とのパートナーシップを通じて、クリエイターが個人のクレジットヒストリーを作るための新たな銀行カードを発表した。また、クリエイターの影響力を評価し、クレジットラインを提供することにより、大手銀行やカード会社が進出していないクリエイター分野の金融サービスの拡充を図っている。
さらに、クリエイターのニーズを満たすための金融サービスのワンストップショップを目指しているとウェイとキムは述べている。それに伴い、クリエイターがスポンサーとの契約金の前払いを受けるためのレンディング(貸出)サービスの提供も計画している。
ユーザー数は公表されていないが、2021年のシリーズAで460万ドル(約6億4800万円)を調達して以降、顧客数は5倍に増加したという。Karat Financialのクリエイターカードを所有するユーザーのSNSフォロワー数は、合計で10億人を突破している。
同社が提供するクレジットカードは、従来の金融機関が提供するものとは異なり、クリエイターの影響力と収益性を評価基準としている。これにより、インフルエンサーやYouTuberなどのクリエイターが、自身のビジネスに対する投資や自己表現のための道具を得ることができる。また、クリエイターがスポンサーとの契約金の前払いを受けるためのレンディングサービスを提供する計画もあるとのことだ。
その一方で、同社はクリエイターに対する教育活動も行っています。クリエイターが金融面で自立するためには、金融の知識と理解が不可欠であると同社は考えている。そのため、ウェブセミナーやワークショップを通じて、金融知識の普及に努めている。
このようなKarat Financialの取り組みは、クリエイター・エコノミーの発展を支える重要な一環と言えるだろう。さらなる市場の拡大と共に、クリエイター向けの金融サービスはますます重要になることだろう。未来を見据え、Karat Financialはクリエイター・エコノミーに特化した金融サービスを提供することで、クリエイターたちの金融的な成功を後押しするとともに、金融業界全体の進化をも促進することを目指している。