
オープンバンキングのフィンテックである英国のVoltが6,000万ドル調達——評価額は3億5,000万ドル以上に
uniqorns編集チーム 2023.06.22
英国に本拠を置くフィンテック企業のVolt(ヴォルト)が22日、最新ラウンドで約6,000万ドルを調達したことを発表した。
ラウンドステージはシリーズB。
このラウンドはIVPがリードし、新たなバッカーとしてCommerzVentures(CommerzBankのベンチャー部門)が参加。既存の支援者であるEQT Ventures, Augmentum Fintech PLC, Fuel Venturesも参画した。これは2022年に実施したシードとシリーズAのラウンドに続くものだ。
今回の調達を受け、累積調達額は9000万ドル近くに達した。
Voltは、トム・グリーンウッド氏(現CEO兼共同創業者)を含むスタートアップチームにより創業された。同社の主力事業はオープンバンキングによる国際決済プラットフォームで、特に英国、ヨーロッパ、ブラジルで活動を展開している。既に70か国以上がオープンバンキングや口座間取引(A2A)の仕組みを導入しているが、各国間での標準化はまだ進んでおらず、その隙間を埋める形でVoltは活動を展開している。
同社はこれまでに5,000銀行以上と統合し、オンライン小売業者や他のオンライン取引を行う企業を顧客として獲得、その銀行の顧客向けに商品やサービスの支払い、その他のサービスを提供している。具体的には、Voltのプラットフォームを通じて商品やサービスの支払いを行ったり、他のモバイルウォレットサービスを利用するなどの選択肢を提供している。
同社は、この調達資金をもとに、製品の拡大と国際展開を加速する計画だ。
また、米国を始めとするアメリカやアジア太平洋地域での新市場開拓にも力を入れていく。Voltは既にFarfetch, Vestaire Collective, eToroなどのクライアントを有しており、これらの企業が現在、Voltの決済システムを自社のプラットフォームに統合する作業を進めているところだ。しかし、Voltの成功はこれらの企業が積極的にVoltのサービスを利用し、結果としてトランザクション数が増えることに大きく依存している。
Voltはまた、自社のAPI(Application Programming Interface)をさらに発展させる予定で、それにより第三者がVoltのシステムをより容易に利用できるようになることが期待されている。このAPIの開発により、Voltはクライアント企業が自社のビジネスモデルにVoltのサービスを組み込むことをより簡単にするとともに、それにより新たな収入源を得ることができるようになると考えている。
Voltはオープンバンキングの可能性を追求するフィンテックスタートアップとして、これからの成長が期待である。