ドイツ発・認知ロボット開発のNeura Robotics、新たに5,500万ドル調達

Image Credits:Neura Robotics

ドイツ発・認知ロボット開発のNeura Robotics、新たに5,500万ドル調達

uniqorns編集チーム 2023.07.19

認知ロボットの開発で注目されているドイツのスタートアップ、Neura Roboticsが新たに5,500万ドル(約61.5億円)の資金調達を実施したことが明らかになった。主な出資者には、Lingotto(PEファームのExor N.V.の一部)、Vsquared Ventures、Primepulse、HV Capitalが名を連ねている。

Neura Roboticsは、2019年にCEO兼創業者のDavid Reger氏により設立された。同社は、変化する環境の中で自立的に作業を行うことができ、人間と協働する「認知ロボット」の開発を進めている。現在までには、MAVという移動型ロボット、LARAという高性能協働ロボット、そしてMAiRAと名付けられた「世界初の認知ロボット」の3種類のモデルを開発している。

Reger氏はかつて、複数のロボット開発プロジェクトに携わった経験を持つ。彼は過去の経験から、ロボットに高度な認知能力を持たせ、人間のように周囲の環境を感知し、その情報を瞬時に解析し行動するロボットの開発が必要と考え、Neura Roboticsを設立した。

今回の調達により、同社は開発中の認知ロボットへのR&D投資を増やすとともに、アジアと米国へのビジネス展開を加速する予定である。また、すでに製造予定の受注額が今後5年間で4億5000万ドル(約502億円)に上るという。Reger氏は「実際の顧客の需要はさらに高い。ただ、現状では我々の生産能力が限界である」と語っている。

Neura RoboticsのAIプラットフォームは、どの言語や方言でもトレーニングおよび操作が可能で、オンラインでもオフラインでも使用できる。同社のロボットは人間と協働するため、人間が接触した場合に動きを停止または調整するためのセンサーや安全機能が搭載されている。

同社のロボットは主にB2B市場向けに開発されており、例えば日本の川崎重工業はNeura Roboticsのプラットフォームを基に自社の協働ロボットシリーズを販売している。

Reger氏によれば、Neura Roboticsは将来的には直接消費者市場への進出も視野に入れている。また、同社は他社とも積極的に協力し、APIを提供して自社のAIを他社のロボットに利用させるなど、オープンな態勢をとっている。これにより、各種産業からのアイデアやノウハウを取り入れ、短期間で様々な特殊な応用が可能となる。

なお、同社のロボットは、工業用モデルが5,000ユーロ(約65万円)から40,000ユーロ(約520万円)の価格で提供されている。一方、消費者向けモデルの価格はまだ明らかになっていない。

また、今回の資金調達では、主要な投資家であるLingottoが特に注目を集めている。Lingottoは、イタリアのアニエッリ家が所有する資産運用会社Exor N.V.の一部であり、同家はFIATやFerrariなど著名な自動車メーカーを所有している。この投資が今後、Neura Roboticsのロボット技術が自動車産業に適用される可能性を示唆しているかもしれない。

この資金調達は、ロボット技術とAIの領域での競争が急速に加速している中で行われた。認知ロボットは、特に自動化された作業を行う産業において、人間の労働力を補完し、生産効率を向上させることが可能とされている。

Neura Roboticsの成功は、今後のロボットとAIの領域における発展において、重要な一歩となり得る。認知ロボットの発展は、産業の自動化を推進し、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めている。