レアアース精錬技術先駆者Phoenix TailingsがMPower Partnersより資金調達

Image Credits: Phoenix Tailings Inc.

レアアース精錬技術先駆者Phoenix TailingsがMPower Partnersより資金調達

uniqorns編集チーム 2023.10.06

MPower Partners Fund(以下MPower)は、ESG重視型グローバルベンチャーキャピタルファンドである。この度、MPowerは、鉱山廃棄物からレアアースやその他の重要鉱物を精製する新手法を開発するスタートアップ、Phoenix Tailings Inc.(以下Phoenix Tailings)に出資した。

世界のレアアース需要は年々伸びており、2006年から2021年までの15年間で年間需要は12万5000トンに倍増した。2030年には電気自動車(EV)や風力発電分野での永久磁石の使用が史上最高の31万5,000トンに達する見込みである。その一方で、レアアースのバリューチェーンを支配してきた中国と欧米諸国との間で地政学的リスクが顕在化しており、世界中の政府および企業は従来の手法に代わるレアアース精錬方法を模索している。

Phoenix Tailingsは、鉱山廃棄物である尾鉱からレアアースを効率よく回収する手法を開発する企業であり、その知的財産が強みである。鉄鉱石やレアアースの採掘からは毎年2,000億トン以上の尾鉱が生まれるものの、用途はなく放置されており、そこから発生する温室効果ガスは世界の排出量の約7%を占めている。Phoenix Tailingsが開発したのは、副産物を砂・水・鉱物塩のみとする金属回収方法である。さらに、有害な化学物質を使わずに4割ほど省エネな方法で酸化物を分離させ、最終的なレアアース金属に精錬する技術の開発にも成功した。これは、EV用モーターや風車の主要部品である永久磁石を持続的に生産するうえで極めて重要である。

Phoenix Tailingsは現在、ネオジム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)を生産しており、今月には新しい加工施設を立ち上げる予定である。この資金調達ラウンドでは、MPower以外にもPresidio Ventures、EIC Rose Rock、Envisioning Partnersが投資家として参加した。