北海道発・ナビゲーションドラッグ開発の五稜化薬、KxShareらから資金を調達

Image Credits: 五稜化薬株式会社

北海道発・ナビゲーションドラッグ開発の五稜化薬、KxShareらから資金を調達

uniqorns編集チーム 2023.07.31

北海道・札幌市に本拠を置く五稜化薬株式会社は31日、資金を調達したと発表した。このラウンドはKxShare株式会社、サツドラホールディングス株式会社傘下のCVCである株式会社S Venturesが参加した。

五稜化薬は、乳がんの体外診断薬(GCP-006)をリード製品として、蛍光プローブを活用し、主に手術中に体内または体外にて生体組織に噴霧し、標的の生体物質、より具体的にはがん等の病変を光らせて特定化する蛍光診断薬(ND)の開発を進めている。ナビゲーションドラッグは、術中に迅速かつ微小な病変をも検出することで外科医による切除手術をナビゲートし、がん組織の取り残しを防ぐなど病変部位の把握と対処を容易にし、治療行為を直接サポートするものである。ND事業は「Fluorescent Image-Guided Surgery(蛍光イメージング)を活用した外科手術支援」とも言われ、これからますます注目されている事業分野である。

五稜化薬は、今回調達した資金をもとに、新規候補品のパイプライン化に向けた研究開発を進める計画である。また、乳がんについては臨床性能試験を完了し、本年3月28日に体外診断薬としての製造販売承認申請を厚生労働省に行い、受理されている。蛍光プローブはプラットフォーム技術という基本特性を生かし、がん以外の組織に適用し、当該組織部分を光らせることも可能である。このような蛍光プローブの開発を拡大していく具体的な可能性を示す最初の製品として、本年4月、千寿製薬とグローバルレベルでの正式なライセンス契約を締結したカルパインプローブ(緑内障コンパニオン診断薬)が挙げられる。

今後は、多様ながんの手術時や健診時などで活用されるがんの早期発見・早期治療や再発予防、術後の早期回復に資する製品の開発に注力する計画である。このような取り組みにより、五稜化薬は社会におけるがん治療の新たな選択肢を提供し、患者のQOL(生活の質)の向上を実現することを目指している。