キッチンロボットBotinkitがDJIエンジェル他から1,300万ドルを調達―累計調達額は2,000万ドルへ
uniqorns編集チーム 2023.07.20
深圳を拠点に展開するBotinkitは、1,300万ドルの調達を行ったと明らかにした。このラウンドはForebrightがリードし、5Y Capital、Brizan Ventureが参加した。これは2021年に立ち上げられて以来の調達であり、このラウンドを受け、Botinkitの累計調達額は2,000万ドル近くになった。
Botinkitは、飲食業界で長年の経験を持つShirley Chen氏(現CEO)らが創業。ケミストリーと電気・電子エンジニアリングの専門知識を活用し、連鎖店向けの調理を自動化・標準化するロボット企業として設立された。そのロボット調理技術は、日本やアメリカを含む海外市場にも進出している。
なお、ラウンドに参加した投資家の中には、香港科技大学の教授で、ドローン大手DJIへのエンジェル投資で知られるZexiang Li氏も名を連ねている。香港科技大学は、Chen氏の母校であり、学生たちが自身の学術研究を商業的なアイデアに転換するハードウェア革新の中心地となっている。
Botinkitは現在、そのロボットが一つのキッチンで必要なスタッフ数を大幅に削減できると主張している。従来100平米のキッチンでは6~10人のスタッフが必要とされるが、Botinkitのロボットを導入すれば、その数は1~2人にまで削減可能である。これは、例えば500店舗を構えるフランチャイズレストランであれば、厨房スタッフを数千人から数百人にまで減らすことが可能だということを意味する。
またBotinkitのロボットは、食材のロスを30%削減し、エネルギー消費を40%削減することができるとされている。このロボットを利用することによって、地域を超えたレストランの拡大が可能になるとChen氏はTechCrunchとのインタビューで語った。
Botinkitは、現在のロボットに温度センサーを搭載しているが、今回の調達資金の一部を使って、味や香りを感知するマルチモーダルセンサーの開発に取り組んでいる。その最終目標は、人間の好みを理解し、データフィードバックに基づいて調理プロセスを改善することができる一般的な人工知能(AGI)を利用することだとChen氏は述べた。
Botinkitの主な収益源はハードウェアの販売であるが、最近ではグローバルネットワークのシェフと協力してクライアントのためにカスタムレシピを作成することによる収入も見込んでいる。そのクライアントは、ファーストフードチェーンからホテル、ケータリングサービス、スーパーマーケットまで多岐にわたり、中国のWalmart店舗内の食堂やシンガポールのDelibowlで調理を行うロボットが活躍している。