AIを使い薬剤耐性菌問題の解決を目指す株式会社GramEye、シリーズAラウンドにて資金調達を実施

Image Credits:株式会社GramEye

AIを使い薬剤耐性菌問題の解決を目指す株式会社GramEye、シリーズAラウンドにて資金調達を実施

uniqorns編集チーム 2023.09.20

AIを使い、薬剤耐性菌問題の解決に取り組むスタートアップ、株式会社GramEyeは、第三者割当増資により資金調達を実施した。同社は、グラム染色を人工知能でアップデートし、抗菌薬の適正利用を目指すAI・ロボティクスソリューションの開発を行っている。

GramEyeが取り組むのは、抗菌薬の不適切な使用により世界的に増加している薬剤耐性菌の問題である。薬剤耐性菌は、抗菌薬の誤用や乱用によって効果がなくなる細菌のことを指す。この問題が放置され、現在のペースで耐性菌が増加し続けると、2050年には世界で1,000万人以上の命が失われ、がんによる死亡者数を超えると想定されている。

GramEyeは、グラム染色をAIとロボティクスを用いてアップデートし、適正な抗菌薬投与を推進する。グラム染色は菌を染め上げ、顕微鏡で観察し、色と形から菌種を推定する検査だ。この検査により、広範な抗菌薬の適正利用や感染症の入院期間の短縮が報告されている。

しかし、グラム染色の実施には多くの手間と知識、経験が必要であり、大規模な医療機関でも夜間や休日には実施されていないことや、検査結果が画像として保管されず、検査技師の主観によって報告されてきたという問題があった。
弊社の開発しているAI・ロボティクスソリューションにより、グラム染色の手間を省き、AIが顕微鏡の観察をサポートすることで、より迅速かつ正確な検査結果を反映するシステムを構築することができる。
この結果、医師や臨床検査技師の負担を軽減するだけでなく、適正な抗菌薬投与を推進する。

この度調達した資金を活用し、グラム染色工程を自動化・迅速化・デジタル化するAI・ロボティクスソリューションの臨床現場への導入、AIの強化、およびハードウェアの改良を行う。

GramEyeは2020年に創業され、これまで3度の資金調達を経て、国内10施設の医療機関と共同研究契約を締結し、AI開発と市場調査を進め、試作機を使ったデモやヒアリングを実施してきた。実際にご使用いただいた先生方には、試作機の有用性を実感いただいているだけでなく、発売に期待を寄せていただいている。今後、ユーザーの皆様の声に応えるために、更なる開発を続けていく予定である。