Gradient 、企業が複数のLLMを展開し微調整できるようにするため1,000万ドルを調達

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Gradient 、企業が複数のLLMを展開し微調整できるようにするため1,000万ドルを調達

uniqorns編集チーム 2023.10.05

Gradientは、大規模な言語モデル(LLM)を使用して開発者がクラウド上でAIアプリを構築しカスタマイズすることを可能にするサービスである。同社は、Wing VCをリードとする1,000万ドルの資金調達を発表した。その他にもMango Capital、Tokyo Black、The New Normal Fund、Secure Octane、Global Founders Capitalが参加している。

GradientのCEOであるChris Changは、Netflix、Splunk、Googleなどのビッグテック企業でAI製品の開発に取り組んでいた際に、LLM(例:OpenAIのGPT-4)が企業にとって革新的な存在になり得ると気付いた。しかし、LLMの最大の活用には、プライベートで独自のデータを追加するための信頼性のある方法が必要であると考えていた。

そこでChang、Huang、Moretの3人はGradientを設計した。このプラットフォームは、チームが「専門的」で微調整されたLLMを大規模に展開できるようにするために開発されている。このプラットフォームはクラウド上で動作し、組織が「数千」のLLMを単一のシステムに統合することができる。

Gradientの顧客は、LLMをゼロからトレーニングする必要はない。プラットフォームには、MetaのLlama 2などのオープンソースのLLMがホストされており、ユーザーはこれらを自分のニーズに合わせて微調整することができる。また、Gradientは、データ調整、コンテキスト収集、書類処理などの特定のユースケース(金融、法律など)や業界向けのモデルも提供している。

Gradientは、Hugging Face、CoreWeaveなどのAIインフラプロバイダーと同様に、モデルをホストしAPI経由で提供することもできる。また、Google Cloud Platform、Azure、AWSなどのパブリッククラウド環境にAIシステムを展開することも可能である。いずれの場合も、顧客は自らのデータとトレーニング済みモデルの「完全な所有権」とコントロールを維持する。

Gradientは、同じLLM開発領域のライバル企業と比べて、複数のモデルを同時に「プロダクション化」できる数少ないプラットフォームの1つであると主張している。また、同社は手頃な価格設定を実現しており、ユーザーは使用したインフラストラクチャのみに対して支払いを行う。(大規模な顧客は専用の容量に対して支払いを行うことも可能。)

Gradientは他のLLM開発ツールと大きく異なる点があるのか、また既存の企業が顧客向けにカスタマイズしたLLMを提供している他の多くの企業とは何が違うのか、という疑問が浮かぶ。この点について、数多くのLLM開発ツールを提供する企業の一つであるRekaを例に取ってみる。Rekaは最近ステルスモードから現れ、企業と共同でカスタムテーラードのLLMアプリを開発している。また、Writerは顧客が独自のコンテンツとスタイルガイドに基づいてLLMを微調整することができる。さらに、Contextual AI、Fixie、LlamaIndexなどは、企業が既存のLLMに独自のデータを追加できるツールの開発に取り組んでいる。そして、Cohereは顧客の要件に合わせてLLMを訓練する。

これらの企業だけでなく、OpenAIやGoogle(Vertex AIを介して)、Amazon(Bedrockを介して)、Microsoft(Azure OpenAI Serviceを介して)など、多くの企業がモデルの微調整ツールを提供している。

Changは、Gradientが同社のライバル企業と大きく異なる点はないかもしれないが、大規模な関心を受けている生成型AI(LLMを含む)市場から恩恵を受けていると主張している。Crunchbaseによると、今年の全世界のVC資金のうち、AIセクターだけで約5分の1が占めているとのことだ。また、PitchBookによると、2023年には生成型AI市場が426億ドルに達すると予想されている。

Gradientは現在、約20のエンタープライズ顧客と「数千人」のユーザーと協力している。近い将来の目標としては、クラウドバックエンドの拡張と、今年の終わりまでにフルタイムの従業員17人から25人にチームを拡大することが挙げられている。